「モンゴルカレッジ」はモンゴル国を深く理解していただくことを目的とした講演会で、ハワリンバヤルの名物コーナーです。2006年に開講し、これまでたくさんの方々にご協力いただきながら貴重な講演会を実施してきました。
今年も素晴らしい先生方にご講演いただきます!
1日目は清水武則先生(中央大学商学部特任教授、元モンゴル国駐箚特命全権大使)と中野智子先生(中央大学経済学部教授)、2日目は荒井幸康先生(北海道大学スラブ研究センター21世紀COE研究員、一橋大学、亜細亜大学、芝浦工業大学、青山学院大学非常勤講師)と寺尾萌先生(東京都立大学大学院人文科学研究科専門研究員)です。
ZOOMでどなたでも無料視聴できます。大変貴重なお話をお聞きできるチャンスですので、皆さんぜひご参加ください!
モンゴルカレッジ参加方法
- 予約は不要です。講義の時間になりましたら、以下のZOOMにアクセスしてください。
- 講義中は、ミュート(消音)にしてご参加ください。
- 講義終了後、10分間の質疑応答の時間を設けています。質問がある方はチャットで投稿してください。司会進行役が質問をピックアップしてご紹介します。
1日目(5月3日15:30〜17:10)
ZOOMのURL: https://bit.ly/32NXzre
Meeting ID: 973 6725 5191
Passcode: Haruma2021
1.「日本とモンゴル〜過去・現在・未来」
清水武則(中央大学商学部特任教授、元モンゴル国駐箚特命全権大使)
過去と現在の二国間関係を検証し、これからのモンゴルや両国関係の発展について必要なことは何かを外交関係樹立50周年(2022年2月)を迎える節目の時期に考える。
過去:過去の戦争の歴史と外交関係の樹立、モンゴルの民主化と日本の支援
現在:薄れゆく第三の隣国論と中国への傾斜、日本との交流の現実は?
未来:モンゴル発展への道(清朝時代への回帰か、真の独立か)、モンゴルの若者への期待と日本の役割、今何ができるのか。
<参考資料>
1) Т.Шимизү: Монголчууддаа хандаж хэлэх миний захиас
2) Шимизү: Чадварлаг ард түмэн яагаад ядуу байна гэдгийг бодох хэрэгтэй
3) 中央大学モンゴルゼミのインスタグラム:Mongolia_chuo
2.「モンゴル国の草原は砂漠化しているのか?」
中野智子(中央大学経済学部教授)
モンゴル国は乾燥・半乾燥地域に位置しているため、国土の80%が草原に覆われている。そのため古来より遊牧が営まれ、現在も基幹産業の一つとなっている。しかしながら近年、気候変動(地球温暖化)や家畜の過放牧によって、草原が劣化し砂漠化が進行しつつあるのではという懸念が生じている。そこで、モンゴル国で実際に起こっている現象を把握するべく気象、植生および家畜数のデータを解析した。モンゴル国では、過去40年の間に全域で気温が上昇し、中央部では降水量が減少していた。また家畜数は全域で増加し、特に首都ウランバートルの近郊で増加率が高かった。一方、地表の植生量が減少した地域は限られ、逆に増加した地域の方が多く、「砂漠化が進行している」という一般的な認識とは異なる結果が得られた。降水量が減少・家畜が増加している地域と植生が減少している地域は必ずしも一致しておらず、モンゴル国の草原の変化を改めて見直す必要があると考えられる。
2日目(5月4日13:30〜15:10)
ZOOMのURL: https://bit.ly/3vkcDZP
Meeting ID: 940 9644 6516
Passcode: Haruma2021
3. 「バス料金とホーショールが1トゥグルクだったころ ~民主化直後のモンゴルから今のモンゴルへの変化を考える~」
荒井幸康(北海道大学スラブ研究センター21世紀COE研究員、一橋大学、亜細亜大学、芝浦工業大学、青山学院大学非常勤講師)
永いものでモンゴルとは30年以上の付き合いになってしまった。
モンゴルに日本語を中学校に教えに行ったのは1992年7月から1993年8月。その一年間での変化は、日本にいては味わうことができなかったものばかりであった。ハイパーインフレ、教師のストライキ、バス停に止まらないバス…今思えば、明日も今日と同じことが続くという社会観を大きく変えてしまったように思える。
その後、モンゴルは2004年から2005年までの滞在し、その後は年に2回頻繁に行き来する日々を過ごした。そして2020年、21世紀になって初めてモンゴルに行かない一年を過ごした。
1992年、2004年、そして現在、モンゴルは大きく変化していっている。そのころの話から、今に至るまでのモンゴルの社会の変化を、個人的な体験とともにお話してゆきたい。
4.「現代モンゴルの乳文化ー西モンゴルの乳製品づくりから」
寺尾萌(東京都立大学大学院 人文科学研究科 専門研究員)
モンゴルの乳製品といえば馬乳酒(guunii airag)が有名ですが、牧畜民たちは飼育する家畜の種類や気候に応じてさまざまな乳製品をつくっています。また、食文化や物質文化の変化によって乳製品のつくり方や利用方法も多様化してきました。
今回お話しするのは、モンゴル国の北西部に位置するオブス県に暮らす、バヤドと呼ばれる人たちのあいだで実践されている乳製品づくりについてです。かれらは、ウマを搾乳せず、馬乳を利用しないため、主にウシやヤギの混合乳で乳酒(airag)を醸造しそれをさらに蒸留した蒸留乳酒(shimiin arkhi)を中心に、さまざまな乳製品をつくっています。今回の発表では、この蒸留乳酒を中心とした乳製品づくりに、牧畜を営む世帯がどのように取り組んでいるのか、さまざまな伝統的慣習がどのように継承されてきたのか、それらがどのように変化しているのか等について、発表者が文化人類学的フィールドワークのなかで出会ったさまざまな出来事や調査資料からお話しします。
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